メルのこと〜メルの病気22〜

メルのこと

リクとメルの歩き方の違いを比べてみるのに

見た目と同じぐらい分かりやすかったのが爪でした。

力強く踏ん張って歩くリクは爪が擦れ、軽やかに弾むように歩くメルは

すぐに爪が伸びてしまいます。

なので嫌いな爪切りの頻度はメルの方が圧倒的に多かったのです




今にして思うこと。

メルが認知症と診断されてから半年近くなり、対応の仕方も慣れてきた。

夜、何度も起きてしまうような日でも、さほど辛くなくなってきた。

時々私がぐっすり寝ていて、何となく視線を感じて起きると枕元でメルがジッと覗き込んでたり

時にはメルとソラと二人で覗き込んでいたり。

真夜中の暗闇の中、プーっと吹き出して起きることもある

認知症は徐々に進行していく病。

メルも今年の春にそう診断される前から兆候はあったはずだ。

そう、よくよく記憶を辿って行けば心当たりはある。

それも数年前から。


怒りっぽくなる

まだリクがいる頃なので、多分三年半ほど前ぐらいまで遡る。

それまではご飯の時は二人で並んで食べていた。

ところが段々とメルが隣で食べてるリクに対して唸るようになった。

”これは離した方がいいな…”

すぐに食べる場所は別々のところにした。


問題はご飯ができるのを待っている時。

それまではこのように二人並んで待っていたが、メルがリクに襲いかかるようになった。

リクはご飯が待ちきれないタイプの食いしんボーなので

出来上がるまで「早くちょうだい!!」と吠える。

それに我慢が利かなくなったのか、マジギレして襲いかかった。

それどころか、吠えない時でも襲いかかるようになった。

リクは家族にはもっぱら優しい男なので、メルに襲われると反撃はせずされるがままだ。

もちろんその時はメルを叱った。

二人一緒に待たせるのは危ないので、それからはリクは私の足元で待たせるようにした。

”年をとってくると我慢が利かなくなるらしい” と

この時はまだ何の疑いもせずメルが年をとってきたせいだと思い信じて疑わなかった。




定まらない。

メルは寝る時は昼夜いつでも必ずと言っていいほどソファーで寝ていた。

大体眠くなっているとピョンっとソファーに飛び乗り寝てしまう。

それが、私が覚えている限りでは多分今年に入ってから、ソファーに飛び乗った後

グルグルと回ってなかなか眠らなかった。

そしてそれは日が経つにつれ、グルグル回る時間が長くなり

眠らないまでも、ただソファーの上に乗った時でさえグルグルと回るようになった。

どこでゆっくりしようかな…と、少し家の中をウロウロ歩き回り結局ソファーの上に落ち着く。

そしてグルグル回ってやっと伏せる、眠い時は寝ると行ったような感じだった。

”年をとってきて なかなかポジションが定まらなくなってきたのかな…?”

と、やはりこの時も年のせいにして自分の中で納得していた。




執着。

リクもメルも、元々ストーカー気質。

いつも私は大体張りつかれてジッと見張られている。

尾行されて張り込みされているのだ

この尾行も張り込みも嬉しい限り(犬ばか)だったが

これも今年に入ってからのメルは今までより一層執着するようになった。

二階に洗濯物を干しに行けば階段の下で、お風呂に入ればドアの前で、

トイレに入ればトイレの前で、ずっとウロウロしていた。

買い物に出た時は玄関でずっと待っている状態。

夜になって二階の寝室に上がった時は、必ずついてきて足元で寝る。

旦那が「狭いし寝返りも打てない」というので寝室のドアを閉めて寝た時は

ずっと寝ずにドアの前でウロウロしていた。

その頃から階段の上り下りが危なくなってきたので、私は下で寝ることにし、

階段にはゲージを取り付けた。

これもやはり年をとってきて耳も聞こえづらくなり、目も見づらくなってきて

色々不安なのかもしれないな…などと年のせいにしていた。





思い起こせば…となる前に

認知症の初期症状と思われる事がザッと思い起こしただけでもこれだけあった。

その時は全く病気などとは疑わず、全て加齢だと思いこみ納得していた。

年をとってきたから表情がなくなってきた。

年をとってきたから寝ている時間がすごく多くなった。

年をとってきたからお散歩をせがまなくなった。

年をとってきたからトイレが間に合わなくなってきた。

年をとってきたから…。年をとってきたから…。

シニア、そしてハイシニアを迎えて少しでも疑問に思う変化があったら

色んな病気と同じように認知症も疑った方がいいかもしれない。

治らない病気かもしれないけど、今は動物医療も発展していて

早期発見できれば対応できる選択肢が多い。







ウォン!!!!

メルは今落ち着いていて、【食べたい】という意欲も出てきた。

ご飯を用意するのにあたふたしてると「ウォン!!!」と催促するようになった。

メルのそう言う声が聞けるのが、今はとても嬉しい。

この間はご飯を食べながら「ウォン!!」と吠えた

「美味しい!!」って言ってるのかな?

「ちょっと固い!!」って言ってるのかも

なんて想像しながら家族で話すのも、何だかとても嬉しかった。

声を上げる元気があると言う事、そしてご飯が食べたいと言う欲がある事、

そんな普通の事が、今は本当に有難いし嬉しいのだ。






23に続く










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