ソラのこと〜episode1〜

ソラのこと




ソラ

ソラは7月30日で6歳になった。

もう6年近くも一緒に暮らしてるのに、まだ猫初心者気分がなかなか抜けない。

未だに ”猫が家にいるなんて不思議” なんて思ったりする事がある。

それだけどっぷりワンコ生活に浸っていたんだな…と思う。


ソラが来て一番嬉しかったのはリクだったかもしれない。

リクは人嫌いワンコ嫌い、そして多分ネコも嫌い。

散歩で野良猫と遭遇すると、怖がって近づかないか剥きっ歯で吠えた。

でも一度 家族と認識すると、とても優しい。

小さかったソラはすぐに家族として認識されたようで、とても優しく接してくれた。

ソラもとてもよくリクに懐いた。

ソラが来た頃はリクは13歳、メルは10歳。

シニアになり色々気をつけなくては行けない歳になり、言わばリクメルの

活性化も兼ねてソラはやって来たのだ。

とは言え、家族で会議を開いてソラを迎える事になった訳ではなく

その日は突然やって来た。



連れて来ちゃった

その日は次女と二人でペットショップにリクメルの物を買いに出かけた。

ショップの真ん中のガラス張りのケースの中に可愛い子猫が何匹かいて

「可愛いね〜」などと言っていたけど、次女が急に抱っこしたいと言い出した。

「この仔すごく可愛い!!」

その仔は愛くるしい顔でピタリと腕の中に収まり、ずっとゴロゴロと甘えていた。

そう、それが今我が家で昔からいるような顔をして一番偉そうにしているソラだ。


抱いたら終わり

何かの映画のキャッチコピーみたいだけど、仔犬や子猫を目の前にした人はきっと

ほぼ間違いなく自分に言い聞かせてるだろう。


「リクのボケ対策にいいかもよ!」と、色々次女に勧められたけど

「シニアまっしぐらのリクメルを抱えて、そのうえ子猫は無理だよ」

私も猫は好きだけど色んなことを考えたら、今は無理。

可愛いけど無理。

そう自分に言い聞かせた。

「こんなに可愛くて人懐こいなら、すぐに飼い手がつくよ」

諦めきれない次女は内金を入れ、ショップを後にした。

”ま、家に帰り旦那に相談でもして反対され内金を返金してもらう事になるだろう”

その程度に思っていた。

家に着いて少しして「ちょっと買い物行ってくるね」と出かけた次女。

何も思わず「行ってらっしゃい」と送り出した。

ところがなかなか帰ってこない。

”車で出かけたしな。モールでも行ったのかな” 程度に思っていた。

夜8時を過ぎた頃、やっと帰って来た。

リビングドアを少し開け、顔を出した次女は

連れて来ちゃった」とニヤリ。

小さなバリケンに入った小さな子猫と、大きなたくさんの荷物と一緒に帰宅した。

この日から我が家のワンコニャンコ生活が始まったのだ。


名前はすぐに決まった。

「リク(陸)、メル(海)と来たらソラ(空)しかないよね」

自衛隊みたいだけど、うちの中ではジブリの【コクリコ坂から】と言う認識。(後付け

どうやって接していいか戸惑っている旦那はシカトして夜9時過ぎからソラのケージを組み立てた。



救世主

この年は色々な問題に直面し、思い悩んでいた時期だった。

何となく家の中に重い空気が漂っていた。

今思えばソラが来た事で、風向きが少しずつ変わっていったような気がする。

例えばリクがソラと遊ぶ姿を見た時、リクメルソラが一緒に寝てる姿を見た時、

ソラがリクメルの毛繕いをしてる姿を見た時、、、、

きっと、多分家族全員が癒されてる時の笑顔になっていたと思う。

それまでもリクとメルにも十分癒されていた。

だけど【新しい風を入れる】と言う事は、時として必要な事なんだな…と言うことを学んだ。

それが生態であろうが、そうでなかろうが、【新しい風】は必要な時があるのだ。


そしてこの我が家に吹き込んだ【新しい風】ソラは私たちの救世主になった。

リクが元気になりよく遊び、優しくソラと接する。

気がつくと、いつも近くにいて一緒に寝る。

今現在、病と闘ってるメルにもソラはいい刺激であり、いい【風】なのだと思う。

私たちにとっても、そんなリクメルを見れるのがとても嬉しいことだ。

こうして小さな救世主は、もはや私たちには なくてはならない存在になった。

もう6歳なんて信じられなくて、いつまで経っても子猫扱いしてしまう。

多分、ワンコやニャンコを飼ってる家では大抵がそうだと思うけど

うちの子たちも、いくつも呼び名がある

ソラに限っては、もはや「ソ」も「ラ」も入っていない呼び名で呼ぶことも多いけど

全てに反応するソラはスゴいと思う





episode2に続く






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